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所有不動産記録証明制度とは。親名義の不動産を全国一覧で把握する

更新日 2026-07-15

親や配偶者が亡くなって相続の手続きを始めたとき、多くの人が最初につまずくのが「その人が、どこに、どんな不動産を持っていたのか分からない」という壁です。自宅だけだと思っていたら、遠方に先代から受け継いだ田畑や山林があった、というのは珍しくありません。見落としたまま放置すると、あとから相続登記の申請が必要だったと分かって慌てることになります。2026年2月2日から始まった所有不動産記録証明制度は、この「持っている不動産が分からない」を正面から解決するために作られた制度です。ここでは、制度の中身と、誰がどうやって証明書を請求するのかを、法務省の案内に沿って整理します。

所有不動産記録証明制度とは。名義人の不動産を全国分まとめて一覧にする

所有不動産記録証明制度は、登記官(法務局で登記の審査をする担当者)が、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を全国分まとめて一覧にし、証明書として交付する制度です。令和8年2月2日から運用が始まりました。

これまで、ある人が持っている不動産を調べるには、市区町村ごとに名寄帳(なよせちょう。その市区町村の中で同じ人が持つ不動産をまとめた台帳)を取り寄せる方法が中心でした。ただ名寄帳は、あくまでその市区町村の中にある分しか載りません。別の街に不動産があれば、そこの役所で別に取り直す必要があったのです。所有不動産記録証明制度なら、法務局に一度請求するだけで、全国どこにある分でも一覧で確認できます。相続財産の把握が、市区町村ごとの取り寄せから全国一括へと大きく変わりました。

これまで(名寄帳) A市役所 その市の分 B町役場 その町の分 C市役所 その市の分 市区町村ごとに取り寄せる 別の街の分は抜けやすい 2026年2月2日から 所有不動産記録証明書 全国の名義不動産を1枚にまとめて証明 近くの法務局に一度請求するだけ
名寄帳と所有不動産記録証明制度の違い(法務省の案内をもとに作成)

なぜ相続で役立つのか。「知らなかった」では期限は待ってくれない

この制度が相続で重みを持つのは、相続登記の義務化と組み合わさるからです。2024年4月1日から、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記(名義変更)をすることが義務になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(行政上の金銭的な制裁。刑事罰の罰金とは別のもの)の対象です。

ここで問題になるのが、そもそもどこに不動産があるかを把握できていないと、名義変更すべき物件を取りこぼしてしまう点です。所有不動産記録証明書で全体像をつかんでおけば、遠方の土地や、先代の名義のままになっている物件の見落としを減らせます。義務化そのものの全体像は相続登記の義務化とはで、施行前の相続で期限が動く仕組みは関連記事でも整理しています。

遺産分割の話し合いがすぐにまとまらないときは、まず相続人申告登記で義務だけ果たしておく手もあります。全体を把握したうえで、どの物件をどう進めるかを落ち着いて決められます。制度の限界も含めて相続人申告登記とはで説明しています。

誰が請求できるのか。本人と相続人、代理人

請求できるのは、まず所有権の登記名義人本人です(法人も含みます)。加えて、その相続人その他の一般承継人、つまり相続などでその人の地位を引き継いだ人も請求できます。ここが相続で効いてくるところで、亡くなった親の名義分を相続人が請求できるということです。さらに、司法書士などの代理人による請求も認められています。

亡くなった人の分を相続人が請求すれば、その人が全国のどこに不動産を持っていたのかを一覧で受け取れます。兄弟のうち誰か一人が動けば家族全体の把握につながるので、相続の初期に取っておくと話し合いの土台になります。

どこで、どうやって請求するのか。全国の法務局・郵送・オンライン

請求先に管轄の制限はありません。全ての法務局・地方法務局(支局や出張所を含む)で、書面またはオンラインで請求できます。書面請求は窓口へ持参するほか、郵送でも受け付けています。近くの法務局で全国分をまとめて頼めるということです。

オンラインで請求する場合は、登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトをダウンロードし、「所有不動産記録証明書交付請求書」の様式を選んで必要事項を入力し、電子署名をして請求します。パソコンでの操作に慣れている人はこちらが便利です。

証明書の交付には手数料がかかります。金額は検索する条件の件数などに応じて決まる仕組みです。最新の正確な額は法務省の所有不動産記録証明制度のページや最寄りの法務局で確認してください。自分にそもそも相続登記が必要かどうかを先に知りたい人は、相続登記の期限チェッカーで数問に答えると目安が分かります。

一覧が出ても名義変更は別。証明書はあくまで入口

ひとつ勘違いしやすい点があります。所有不動産記録証明書は、名義人として記録されている不動産の一覧を示すものです。一覧に不動産が載っていても、それだけで相続登記(名義変更)が済むわけではありません。あくまで、どの物件を名義変更すべきかを見つけるための入口だと考えてください。全体を把握したら、そこから一件ずつ相続登記を進めていくことになります。

請求のときに用意する書類は、立場によって変わります。本人が請求するなら印鑑証明書または本人確認書類の写しなど、相続人が請求するなら、これに加えて相続関係を証する情報が必要になります。代理人に頼む場合は委任状が要ります。過去の氏名や住所での分もさかのぼって検索したいときは、それを証する書類が別に求められることがあります。相続の書類全般の考え方は相続登記の必要書類チェックリストにまとめています。

一覧で把握したあとの名義変更をどう進めるか、相続人が多い、書類の集め方が複雑といったケースは、司法書士や法務局に相談すると確実です。まずやってみる次の一歩としては、帰省や法要で親族が集まるタイミングで、親名義の不動産を一度この証明書で棚卸ししておくこと。全体像が見えていれば、そのあとの相続登記の段取りがぐっと楽になります。

参考(一次情報)

あなたの期限は? 亡くなった時期を選ぶだけで、申請期限と残り日数を確認できます。

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