スマート変更登記のやり方。無料の申出1回で住所変更登記が自動になる
更新日 2026-07-27
2026年4月1日(令和8年4月1日)から、不動産の所有者は住所や氏名が変わったら2年以内に変更登記をすることが義務になりました。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。ただ、引越しのたびに法務局へ申請するのは現実的に負担が大きい。そこで用意されたのが「スマート変更登記」です。無料の申出を一度しておけば、その後の住所変更登記は法務局が代わりにやってくれます。この記事では、その申出(検索用情報の申出)の具体的なやり方を、法務省の案内に沿って手順で説明します。
スマート変更登記とは。申出後は義務違反に問われない
スマート変更登記は、あらかじめ法務局に「検索用情報」を申し出ておいた人について、法務局が住民基本台帳ネットワークの情報から住所や氏名の変更を把握し、職権(本人の申請を待たずに登記官の側で手続きすること)で無料の変更登記をしてくれるサービスです。法務省はこの手続きについて、申出をしておけば住所等の変更があるたびに自分で登記申請をしなくても義務違反に問われることがなくなると説明しています。2年の期限も5万円以下の過料も、以後は気にしなくてよくなるということです。
検索用情報の申出とは。届け出る中身と、スマート変更登記との違い
言葉が似ていて混乱しやすいので、先に整理します。「検索用情報の申出」は、あなたが法務局に自分の情報を登録しておく無料の届出のことです。一方の「スマート変更登記」は、その届出をした人に対して法務局が職権で無料の変更登記をしてくれるサービスの通称。つまり、自分でするのが検索用情報の申出、その見返りに法務局がやってくれるのがスマート変更登記、という関係です。届出が入口で、職権登記が出口だと考えると分かりやすいです。
届け出る中身は次の5つ。氏名、氏名の振り仮名、住所、生年月日、メールアドレス。この5項目を法務局に預けておくと、法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)と照らし合わせて、あなたの住所や氏名が変わったことを把握できるようになります。だから引越しや結婚のたびに自分で登記し直さなくてよくなる、という仕組みです。
もうひとつ押さえておきたいのが、新しく不動産を取得する人にとっては、この申出がもう任意ではないという点です。2025年4月21日から、所有権の保存・移転などの登記を申請するときは、申請書に検索用情報を記載して併せて申し出ることが必要になりました(国内に住所のある個人が対象)。これから家や土地を買う人、相続で名義人になる人は、登記の手続きとセットで自動的にこの申出をすることになります。すでに名義人になっている人だけが、自分から申し出るかどうかを選べる立場です。相続で親の家の名義人になる場面では、相続登記の義務化で定められた3年以内の登記申請のときに、この申出も一緒に片付くことになります。
自分は申出が必要か。立場ごとに分かれる
手続きの入口は、いま不動産とどう関わっているかで3つに分かれます。
これから不動産を買ったり相続したりして名義人になる人。2025年4月21日から、所有権の保存・移転などの登記を申請する際には、検索用情報を申請書に記載して併せて申し出ることになっています。登記とセットで済むため、別途の手続きは不要です。相続で名義人になる場合は、相続登記の義務化で定められた3年以内の登記申請のときに一緒に済ませます。
すでに不動産の名義人になっている人。この場合は自分から申し出ない限り自動化の仕組みに乗りません。登記申請とは別に、単独で検索用情報を申し出ます(単独申出)。対象は国内に住所のある個人です。以下のやり方は主にこの単独申出の説明です。
対象外の人もいます。海外に住んでいる個人と、会社法人等番号のない法人は職権登記の対象外で、変更があれば自分で登記申請が必要です。なお法人は、会社法人等番号の登記がされていれば職権変更登記の対象になるため、検索用情報の申出自体が不要です。
用意するものは少ない。費用はかからない
申し出る内容は5項目です。氏名、氏名の振り仮名、住所、生年月日、メールアドレス。添付書類は多くの場合、運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書のコピーだけで足ります。押印は不要、オンラインの場合は電子証明書も不要で、登録免許税などの費用もかかりません。
メールアドレスを持っていない場合も、「なし」として申出できます。その場合、法務局からの確認は自宅への書面送付で行われる想定です。注意点がひとつ。申し出られるメールアドレスは本人が現に使っているものに限られ、子どもなど親族のアドレスを代わりに書くことはできません。
オンラインでのやり方。ブラウザだけで完結する
法務局の「かんたん登記申請」のページから「検索用情報の申出」の手続きを選び、画面の案内に従って氏名・生年月日・不動産の地番などを入力していきます。専用ソフトは不要で、パソコンのWebブラウザ上で完結します。
手続きが完了すると、「【法務局】申出手続完了のお知らせ」という件名のメールが届きます。このメールには10桁の認証キーが記載されており、将来メールアドレスを変更するときに必要になります。メールは削除せず保管してください。認証キーを忘れてしまった場合も、最寄りの登記所で身分証明書を提示すれば変更の手続きはできます。
書面でのやり方。管轄の法務局に郵送か持参
紙で手続きしたい場合は、法務省のページにある申出書の様式(WordまたはPDF)をダウンロードして記入し、不動産の所在地を管轄する法務局に郵送または持参します。郵送は書留などの追跡できる方法にし、封筒の表に「検索用情報申出書」在中と書き添えます。
複数の不動産を持っていて管轄の法務局が異なる場合でも、いずれかの不動産を管轄する法務局にまとめて申し出ることができます。自分の不動産の管轄がどこかは、法務局のサイトの管轄案内で調べられます。迷ったら最寄りの法務局か司法書士に確認してから出すのが確実です。
登記簿の住所がすでに古い人こそ、この申出が近道になる
「何度か引越していて、登記簿の住所はとっくに古いままだ」という人は多いはずです。施行日より前の住所変更もさかのぼって義務化の対象で、その期限は2028年3月31日。詳しくは住所変更登記の義務化の記事で整理していますが、実はこの過去分の解消にも検索用情報の申出が使えます。
法務省のQ&Aによれば、登記簿上の住所が古いままの人は、申出書に現在の住所(住民票上の住所)を記載して申出をします。すると2026年4月1日以降、登記所から「登記簿上の住所を現在の住所に変更してよいか」を確認するメールが届き、変更してよい旨を回答すれば、順次、登記所の側で住所を直してくれます。自分で変更登記を申請し直す必要はありません。ただし、住所のつながりが住基ネットで確認できないほど古い変更については、戸籍の附票の写しなどの追加書類を求められる場合があります。
自分の登記簿上の住所がいまどうなっているかは、法務局で登記事項証明書(窓口600円)を取れば確認できます。親名義の不動産がどこにどれだけあるか自体があいまいなときは、所有不動産記録証明制度で全国分を一覧にしてから動くと取りこぼしがありません。親から相続した実家の名義や住所が気になっている人は、まず相続登記の期限チェッカーで自分の期限を確かめたうえで、相続登記と検索用情報の申出をまとめて片付けるのが二度手間のない順序です。
申出したあとの流れと、知っておきたい注意点
申出後は、法務局が少なくとも2年に1回、住基ネットに照会して住所等の変更の有無を確認します。変更が見つかると、本人にメール(メールアドレスなしの場合は書面)で「変更登記をしてよいか」の確認が届き、よい旨を回答すると職権で変更登記がされます。この法務局からの確認の運用は2026年4月以降に始まっています。
覚えておきたいのは、勝手に登記が書き換わるわけではなく、必ず本人への確認を挟むという点です。確認への回答があって初めて登記されるので、法務局からのメールを見落とさないようにしてください。また、職権による変更登記も通常の登記申請と同じように完了まで一定の期間がかかります。
次の一歩は具体的です。これから相続登記など所有権の登記をする予定がある人は、その申請と同時に申出を済ませる。すでに名義人で予定がない人は、「かんたん登記申請」からオンラインで単独申出をするか、様式を印刷して管轄の法務局に送る。個別の判断に迷う事情がある場合(海外に住んでいる、名義が亡くなった親のままになっている、など)は、法務局の手続案内か司法書士に相談してから動くと確実です。