相続登記チェッカー無料相談

お盆の実家で相続の話し合い。決める前に名義を確かめる

更新日 2026-08-04

お盆で実家に兄弟がそろう。いつかは話さないといけないと全員が分かっていて、それでも「この家、どうする」と切り出した瞬間に空気が変わるのが見えている。だから今年も言い出せないまま帰る。その繰り返しになっている家は多いはずです。今年の帰省で決着をつける必要はありません。持ち帰るものを結論から情報に変えるだけで、話は次の段階に進みます。実家の名義がいまどうなっているか。確かめられるのはそこまでで、そこまでで十分です。

もめるのは、たいてい誰も現状を知らないから

誰が継ぐかを最初に置くと、その場にいる全員がいきなり賛成か反対かの二択に立たされます。まだ何も分かっていないのに立場だけ表明させられるのだから、身構えるほうが自然でしょう。しかも多くの家では、話の土台になるはずの事実がまるごと抜けています。実家の登記簿に今どんな名前が載っているのかを、家族の誰も正確には知らない。

親名義だと思っていた家が、亡くなった祖父の名義のままだった。この手の話は珍しくありません。そうなると登場人物は親ときょうだいだけではなくなります。祖父の相続人が誰だったのか、その中にすでに亡くなった人はいないか。話し合う相手の顔ぶれ自体が変わってしまう。名義が前の代で止まっている家の進め方は実家の名義が祖父のままの記事で整理しました。

裏を返せば、名義さえ分かれば話の重さを先に見積もれます。親名義で相続もまだなら、急ぎではなく準備の話。すでに前の代で止まっているなら、期限のある話。同じ「実家をどうする」でも中身は別物です。

帰省中に確かめられることは三つ

一つめは、登記簿の名義です。登記事項証明書(登記簿の内容を証明する書類)は、その不動産の持ち主でなくても誰でも取れます。窓口なら600円、オンラインでの請求はこれより割安。親に頼み込んで見せてもらう必要がないので、切り出しにくい家ほどここから入ると気が楽になります。

二つめは、登記簿に載っている住所と、いま親が実際に住んでいる住所が合っているかどうか。ここがずれたままの家はかなりあります。2026年4月1日から、住所や氏名が変わったときの変更登記も義務になりました。変更から2年以内に申請しないと、正当な理由がない限り5万円以下の過料(行政上の金銭的な制裁で、刑事罰の罰金とは別のもの)の対象になります。施行前に済んでいる引越しの分には2028年3月31日までの猶予があります。二世帯を建て替えた、施設に移った、子の近くに越した。心当たりがあるなら確かめる価値があります。

三つめは、遺言があるかどうかと、あるならどこにあるか。法務局が自筆の遺言書を預かる保管制度を使っていれば、原本は法務局にあります。手数料は1件3,900円で、家庭裁判所の検認もいりません。使っていないなら、どこにしまってあるかを聞いておくだけでいい。中身を今日聞き出す必要はないし、そこまで踏み込むと目的だった情報収集まで止まります。

1 登記簿の名義は誰か 登記事項証明書は誰でも取れる(窓口600円) 親か、前の代で止まっているかで手が変わる 2 登記簿の住所と今の住所 ずれていれば住所変更登記が必要 2026年4月から義務・変更から2年以内 3 遺言はあるか・どこにあるか 法務局の保管制度なら1件3,900円 家庭裁判所の検認もいらない 持ち帰るのは結論ではなく現状 決めるのは、全員が同じ情報を見てから

課税明細書が教えてくれるのは、その市区町村の分だけ

実家に固定資産税の課税明細書があれば、写真を撮らせてもらってください。どの不動産に課税されているかが並んでいるので、名義を調べる入口になります。ひとつ注意したいのが、そこに書かれている金額の見方です。相続登記の登録免許税を計算するときに使うのは、明細書で「価格」または「評価額」と書かれているほうで、「固定資産税課税標準額」ではありません。法務局がわざわざ注意しているくらい、間違えやすいところです。

そして課税明細書には範囲の限界があります。載るのはその市区町村にある分だけ。市区町村ごとに管理される名寄帳と同じで、親が隣県に山林を持っていたとしても、この紙からは出てきません。

全国分をまとめて出せるようにしたのが、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度です。ある人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、登記官が一覧にして証明書として出してくれます。ただし請求できるのは登記名義人本人と、亡くなった人については相続人その他の一般承継人、それに代理人。親が元気なうちは、子が自分の判断で親名義の一覧を取ることはできません。親本人に請求してもらうか、委任を受けて代理人として請求するかになります。だからこそ、本人が目の前にいるお盆は頼みやすい。請求は全国どの法務局でもでき、書面なら郵送も可能です。手数料は検索する条件の件数に応じて加算されるので、金額は法務省のページか最寄りの法務局で確かめてください。制度の中身は所有不動産記録証明制度の記事に書きました。

親が元気なうちにしかできない手当て

住所のずれが見つかったときに勧めやすいのが、検索用情報の申出です。氏名、氏名の振り仮名、住所、生年月日、メールアドレスを一度届け出ておくと、法務局が住基ネットに照会して変更を把握し、本人に確認したうえで職権で住所変更の登記をしてくれます。法務省はこれをスマート変更登記と呼んでいて、申し出ておけば住所が変わるたびに自分で申請しなくても義務違反に問われることがなくなる、と説明しています。費用はかからず、押印も電子署名も不要。ブラウザ上の「かんたん登記申請」で完結します。2025年4月21日の時点ですでに所有権の登記名義人である人(国内に住所のある個人)は、登記の申請とは別に単独で申し出られます。登記簿の住所が古いままでも、現在の住所を書いて申し出ておけば、2026年4月以降に法務局から確認の連絡が来て順に直っていきます。手順はスマート変更登記のやり方にまとめました。

もう一段踏み込んで、生前に名義そのものを動かす話が出ることもあります。ここからは贈与税や相続税の比較が絡み、どちらが有利かは家ごとの事情で変わるので、税理士や税務署の領域です。法務局でも税の相談は扱っていません。考え方の整理は親が生きているうちの名義変更の記事で触れています。

話が止まっても、期限は止まらない

実家の名義がすでに亡くなった人のままだった場合、話し合いとは別に動いている時計があります。相続登記の申請義務です。2024年4月1日に始まり、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内。施行日より前に開いた相続は、2027年3月31日か知った日から3年のどちらか遅い方が期限になります。前者に当たる人の残り時間は233日。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。

法務省が正当な理由の例に挙げているのは、相続人が極めて多数にのぼる場合、遺言の有効性等が争われている場合、重い病気、DV被害で避難中、経済的な困窮。「忙しい」はこの例に入っていません。話し合いがまとまらないというだけで自分は当てはまると決めて放置するのは、危うい賭けになります。

それでも打つ手はあります。相続人申告登記は、登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自分がその相続人の一人であることを法務局に申し出る手続きで、受理されれば申出をした人については登記義務を果たしたことになります。誰が何を取るか決まっていなくても、相続人の一人が単独で申し出られて、登録免許税もかかりません。ただし売却や賃貸、担保の設定には本来の相続登記が必要で、義務を果たしたとみなされるのも申し出た本人だけです。その後に遺産分割がまとまれば、成立の日から3年以内に本来の相続登記を申請する義務が改めて生じます。申告登記は話がまとまるまでの時間を稼ぐ手であって、これで終わりにはなりません。限界を含めた使いどころは相続人申告登記の記事で確かめてください。

自分の家が期限のある話なのか、まだ準備の話なのかを切り分けたいなら、相続登記の期限チェッカーに数問答えてみてください。帰省中でも数分で済みます。話し合いの前に、実家の固定資産税の課税明細書を1枚撮っておく。今年のお盆で持ち帰るものは、それで足ります。

参考(一次情報)

あなたの期限は? 亡くなった時期を選ぶだけで、申請期限と残り日数を確認できます。

期限チェッカーを使う 売却・処分の無料相談

関連記事