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相続放棄したのに固定資産税の通知が来た。まず確かめること

更新日 2026-07-23

相続放棄したはずなのに、亡くなった親の家の固定資産税の納税通知書が自分あてに届いた。「放棄したのに、どうして払えと言われるのか」と戸惑っている人は少なくありません。先に結論を言うと、その通知はあなたがまだ法律上この不動産の相続人として扱われている可能性を示すサインです。そして相続放棄をめぐって一番あぶないのは、実は「放棄したつもりで、正式な放棄ができていない」ケースです。ここでは、通知が来たときにまず確かめること、正式な相続放棄の要件、そして放棄と表裏一体になっている相続登記の義務までを順番に整理します。

「放棄したつもり」が一番あぶない

法律上の相続放棄は、家庭裁判所での手続きです。自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。この手続きを踏んでいないのに放棄したと思い込んでいる、という取り違えが実はとても多いのです。たとえば次のようなものは、どれも法律上の相続放棄にはあたりません。

これらは気持ちのうえでは放棄でも、法律上は相続人のままです。相続人であれば、その不動産に固定資産税の通知が届くのはむしろ自然なことです。さらにこわいのは、放棄したつもりで放置していると、固定資産税の支払いだけでなく相続登記の義務まで背負ったままになっている点です。相続登記が2024年4月から義務になったことの全体像は義務化とは何かの記事にまとめました。

通知が来たら、確かめることは大きく2つ

納税通知書を手にして不安になったら、まず自分の状況を切り分けるところから始めます。ポイントは、家庭裁判所での手続きをしたかどうか、そしてしていないなら自分が相続人として何をすべきか、の2点です。

固定資産税の通知が届いた 市区町村はあなたを納税者側と把握 家庭裁判所で相続放棄が 受理された? いいえ・口頭だけ あなたは今も 法律上の相続人 固定資産税に加え 相続登記の義務 (3年・過料10万円 以下)も残る はい・受理済み 受理通知書を持って 市区町村の税務窓口 へ相談し台帳を確認 住み続けている 家屋などは別途 注意が必要な場合も 自分の期限を チェッカーで確認し 登記か申告登記へ 迷う点は司法書士 や税理士など 専門家に確認
通知が来たときの確認の流れ

最初に探すのは、家庭裁判所から届く相続放棄申述受理通知書という書類です。これが手元にあれば、正式な相続放棄は済んでいます。見当たらず、家庭裁判所で手続きをした覚えもないなら、放棄はできていない可能性が高いと考えたほうが安全です。なお納税通知書は、市区町村がその不動産の所有者と把握している人あてに届くため、名義変更や相続放棄の事実が市区町村側にまだ伝わっていないと、放棄したはずの人に届いてしまうこともあります。正式に放棄したのに届いた場合は、受理通知書を持って市区町村の税務担当窓口に相談してください。ただし正式に放棄したあとでも、現に住み続けている家屋や、実際に管理している建物などについては別途の注意が必要になる場合があります。ここは自己判断が難しいので、家庭裁判所や専門家に確認するのが確実です。

放棄していないなら、相続登記の義務も残っている

手続きをしていない、つまりあなたが相続人のままなら、固定資産税とあわせて相続登記の義務も並行して残っています。相続登記は2024年4月から義務になり、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(行政上の金銭的な制裁で、刑事罰の罰金とは別のもの)の対象になります。施行日より前に起きた過去の相続については、2027年3月31日か知った日から3年の遅いほうが期限です。残り233日です。

言いかえると、固定資産税の通知が届いているという事実は、市区町村があなたを相続人側と見ていることのあらわれでもあります。税金の通知だけを気にして登記を後回しにすると、義務の期限が静かに近づいてしまいます。自分がいつまでに何をすべきかがはっきりしない人は、まず相続登記チェッカーで今の状況を確かめてください。過去の相続で期限が2027年3月末に集中する話はこちらの記事で詳しく整理しています。

3ヶ月を過ぎていたら、放棄はもう選べないことが多い

相続放棄の3ヶ月という期間は、思っているよりずっと短いものです。通知を見て「今から放棄すればいい」と考えても、相続を知ってからすでに何年も経っているなら、放棄という選択肢は原則として使えないことが多いのが実際です。例外的に認められる余地があるかどうかは事情によって変わり、判断も難しいので、可否は家庭裁判所や弁護士に確認してください。

放棄が間に合わないなら、方針は相続人として登記の義務を果たす方向に切り替わります。遺産分割の話し合いがまとまらない、相続人の一人と連絡が取れないといった場合は、相続人申告登記という応急処置があります。自分がその相続人の一人だと法務局に申し出るだけで登記の義務を果たしたことになり、過料の対象から外れます。単独で申し出ることができ、登録免許税もかかりません。制度の中身と限界は相続人申告登記の記事にまとめました。すでに期限を過ぎてしまっている場合に何が起きるかは期限が過ぎたらどうなるかの記事で確認できます。

「そもそも要らない土地」なら別の道もある

放棄が間に合わない、あるいは家は残したいが遠方の土地だけは手放したい。そんなときの選択肢として、相続土地国庫帰属制度という、いらない土地を国に引き取ってもらう制度があります。ただし建物が建ったままでは使えないなど条件が厳しく、審査手数料や負担金といった費用もかかります。相続放棄が相続そのものを丸ごと手放す手続きなのに対して、こちらは特定の土地だけを対象にする別の制度です。使えるかどうかの判断はケースによるので、国庫帰属制度の記事で条件を確かめたうえで、司法書士などに相談してください。

今日やる一歩

まずは家の中で、相続放棄申述受理通知書という書類を探すところから始めます。あれば正式な放棄は済んでいるので、受理通知書を持って市区町村の税務担当窓口へ。見当たらないなら、あなたは相続人として動く前提で、自分の期限をチェッカーで確認し、登記か相続人申告登記のどちらで義務を果たすかを決めます。放棄が可能かもしれないと感じる場合や、税金の負担の扱いに迷う場合は、時間が経つほど選べる手が減っていくので、司法書士や税理士など専門家へ早めに相談してください。

参考(一次情報)

あなたの期限は? 亡くなった時期を選ぶだけで、申請期限と残り日数を確認できます。

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