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相続登記はどこの法務局に出すのか。管轄の調べ方と3つの出し方

更新日 2026-08-26

戸籍がそろい、申請書も書けた。最後に手が止まるのがここです。この書類、どこの法務局に持っていけばいいのか。自分が住んでいる市の法務局なのか、実家のある町なのか。答えは実家のある町のほうで、申請する人の住所は関係ありません。しかも管轄を間違えて出した申請は却下されます。管轄の調べ方と、窓口・郵送・オンラインという出し方の違いを、法務局と法務省の案内に沿って整理します。

出し先は不動産のある場所の法務局。自分の住所ではない

相続登記の申請先は、その不動産の所在地を管轄する法務局です。北海道に住んでいる人が九州の実家を相続したなら、出す先は九州の、その実家がある地域を担当する法務局になります。相続人がどこに住んでいても、遺産分割の話し合いをどこでしたとしても、管轄は物件の場所で決まります。

法務局はこの点をはっきり注意しています。よくある質問の中で、登記所にはそれぞれ管轄区域があるのであらかじめどこの登記所が管轄しているかを確認するように、と書いたうえで、管轄区域以外の登記所に申請書を提出してもその登記の申請は却下されます、と続けています。近くの法務局に持ち込んでも、審査の段階で通らないということです。

却下されれば、出し直しになります。書類を作り直さずに済んだとしても、正しい法務局へ送り直す時間はまるまる余分にかかる。期限が近い人ほど、この往復が響きます。相続登記の申請は、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内という期限のついた義務です(制度の全体像は相続登記の義務化の記事にまとめました)。2024年4月1日より前に起きた相続は2027年3月31日か知った日から3年の遅い方が期限で、過去分の期限までは残り206日です。

管轄は法務局サイトの管轄のご案内で調べる

調べ方そのものは難しくありません。法務局のホームページに管轄のご案内というページがあり、管轄一覧から探すか、地図から探すかを選んで進みます。一覧のほうは北海道地方から九州・沖縄地方まで地方ごとに法務局・地方法務局が並んでいるので、まず不動産のある都道府県の局を選びます。

選んだ先に、不動産登記と商業・法人登記の管轄区域一覧という表があります。左に庁名、その右に不動産登記管轄区域、いちばん右に商業・法人登記管轄区域。相続登記で見るのは真ん中の不動産登記管轄区域の欄です。会社の登記とは管轄が分かれている庁もあるので、列を取り違えないでください。

ここでつまずきやすいのが、都道府県名のついた局がその県全部を担当している、という思い込みです。東京法務局でいうと、本局が不動産登記で受け持つのは千代田区、中央区、文京区と島しょ部だけ。板橋区の物件なら板橋出張所、世田谷区なら世田谷出張所が管轄になります。北区と荒川区は北出張所、渋谷区と目黒区は渋谷出張所というように、ひとつの出張所が複数の区をまとめて持つこともあります。地方でも支局や出張所ごとに市町村単位で分かれているので、県名ではなく市区町村名で表を追ってください。

その前に、物件の正確な所在地を押さえておく必要があります。ここにも落とし穴があって、登記で使う地番や家屋番号は、郵便物に書く住居表示と一致しないことが多い。法務局も、正しい地番・家屋番号は登記完了証や登記識別情報通知書、登記済証(いわゆる権利証)などで確認するように案内しています。手元にそれらが無ければ、登記事項証明書を1通取れば所在と地番を確認できます。何をどこまで集めるかは必要書類のチェックリストでケース別に確認できます。

1 地番と家屋番号を控える 住居表示とは違うことが多い 登記完了証・権利証・登記事項証明書で確認 2 管轄のご案内から局を選ぶ 不動産のある都道府県の法務局へ進む 一覧から探す/地図から探すのどちらでも可 3 不動産登記の欄で庁名を確定 管轄区域一覧で市区町村名を探す その行の庁名が申請先 本局=県全域ではない。出張所・支局に注意 管轄区域以外の登記所に出すと その申請は却下される 証明書は最寄りの法務局で取れるが、申請は別
申請先を確かめる手順(法務局「管轄のご案内」「よくあるご質問」をもとに作成)

証明書は全国どこでも取れるのに、申請だけは管轄でないと通らない

混乱のもとは、たぶんここにあります。登記事項証明書のほうは、最寄りの法務局で全国どこの物件の分でも取れるからです。全国の登記所をつないだ登記情報交換サービスがあり、その登記所の管轄外の登記事項証明書も請求して受け取れます。九州の実家の証明書を、北海道の法務局の窓口で手に入れられるわけです。

一度その体験をすると、申請書も近所でいいだろうと考えてしまいます。ところが、証明書を発行する事務と、登記記録そのものを書き換える申請の事務は別に扱われていて、申請のほうは法務局が管轄区域以外は却下すると明言しています。取れる窓口と出せる窓口は違う。この一点だけ覚えておけば間違えません。

もうひとつ、申請を出している間は登記事項証明書が取れなくなります。申請がされた土地や建物については処理が完了するまでの間、証明書の交付ができなくなると法務局が明記しています。金融機関の手続きや売却の準備で証明書が要る予定があるなら、申請の前に必要な通数を取っておくほうが安全です。売却まで見据えている人は相続した不動産の売却の記事も先に読んでおくと段取りが早くなります。

出し方は窓口・郵送・オンラインの三通り

管轄が決まったら、次はどうやって出すかです。法務局の説明では、登記の申請方法は書面申請とオンライン申請(電子申請)に分かれ、書面申請はさらに窓口へ持参する方法と郵送する方法があります。

窓口に持参する場合は、管轄の法務局の登記申請の窓口へ申請書と添付書類を出します。郵送の場合は、封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と書いて書留郵便で送ります。遠方の物件でいちばん現実的なのがこの郵送で、実家が離れていても交通費をかけずに出せます。返信用の封筒と切手を申請のときに添えておけば、登記完了証や登記識別情報通知書も郵送で受け取れます。郵便の種類が決まっていて、両方を郵送で受け取るなら本人限定受取郵便、登記完了証だけなら書留郵便です。窓口で受け取る場合は、申請書に押したものと同じ印鑑が必要になります。

オンライン申請は、法務省の登記・供託オンライン申請システムに、申請用総合ソフトで作った申請情報と添付情報を送信する形をとります。申請情報には申請人か代理人の電子署名が必要で、個人が使うのは公的個人認証サービスの電子証明書、つまりマイナンバーカードの署名用電子証明書です。戸籍や遺産分割協議書が紙のままでも、その書面を登記所に提出する特例方式でオンライン申請はできますが、書面を出す期限が定められているため、法務省の不動産登記の電子申請のページで最新の案内を確かめてください。時間の制約もあります。システムの利用自体は平日の8時30分から23時まで、休日の8時30分から18時まで(年末年始を除く)できますが、登記の申請の受付時間は平日の8時30分から17時15分まで。それ以降や休日に送った分は翌業務日の受付になります。

登録免許税の納め方は、オンラインだと選択肢が広がります。インターネットバンキングや電子納付に対応したATMからの電子納付のほか、税務署などに現金を納めて領収証書を納付用紙に貼る方法、収入印紙を貼る方法があります。ただし登記所に現金を持ち込んで納付することはできません。誰がこの税を払うかで迷っているなら費用は誰が払うのかの記事を参考にしてください。

三つのうちどれを選ぶかは、突き詰めると回数の問題です。相続登記は多くの人にとって一生に一度か二度の手続きで、そのためにソフトを入れ、カードリーダーをそろえ、電子署名の作法を覚えるのは負担が重い。パソコンの操作に慣れていて今後も登記の予定があるならオンラインが速く、そうでなければ郵送か窓口が無理のない選び方です。自分でやるか司法書士に頼むかの見極めは自分で申請する場合の記事に整理しました。

不動産が複数の管轄にまたがるとき

実家の土地と建物だけなら管轄はひとつで済みますが、相続では散らばることがよくあります。実家に加えて隣県の田畑、親が持っていた別荘地。こうなると申請は管轄の数だけ必要になります。法定相続情報証明制度の案内でも、不動産が複数の管轄にまたがる場合はそれぞれの所在地を管轄する法務局に書類を出すことが前提になっています。

そこで効いてくるのが法定相続情報一覧図です。管轄が複数にまたがる場合、本来はそれぞれの法務局へ戸籍の束を出さなければならないところ、一覧図の写しがその束の代わりになります。手数料はかからず、金融機関の手続きにも使えます。使い方は法定相続情報一覧図の記事にまとめました。

名義が祖父の代のままで、その後に相続人も亡くなっているようなケースでは、そもそも何件の登記が必要かという段階から判断が要ります。順番の考え方は数次相続の記事で扱っています。分譲マンションのように土地の権利が建物と一体になっている物件は、申請書の書き方自体が変わるのでマンションの相続登記の記事を先に見てください。

遠方の法務局に出すときに覚悟しておきたいのが補正です。申請書に不備があると、登記所の担当者から平日の日中に電話で連絡が来て、訂正することになります。窓口が近ければ持って行けば済みますが、遠いと郵送でやり取りが往復します。書類の多い相続や関係する人の多い相続ほど、この往復の回数が読めません。連絡先の電話番号は、平日の昼間に必ず出られるものを書いておいてください。

出す前に確かめる三つ

ひとつ、登記事項証明書か権利証で正確な地番と家屋番号を控える。ふたつ、管轄のご案内から都道府県の局へ進み、不動産登記管轄区域の欄で市区町村名を探して庁名を確定する。みっつ、窓口・郵送・オンラインのどれで出すかを決め、郵送なら書留と返信用の封筒を用意する。ここまで済めば、出し先で迷うことはなくなります。

自分の期限がいつなのか、そもそも義務の対象なのかがはっきりしない人は、先に相続登記の期限チェッカーで今の状況を確かめてください。管轄の表を見ても自分の物件がどの区域か読み取れない、不動産が何筆あるのか把握できていない、名義が前の世代のままだった。こうした引っかかりが出たときは、管轄の法務局の登記手続案内(完全予約制で1回20分程度)か司法書士に早めに当たるほうが、結局は早く終わります。どこから当たればいいか迷う段階なら、無料相談で物件の場所と名義の状況を聞かせてください。

参考(一次情報)

あなたの期限は? 亡くなった時期を選ぶだけで、申請期限と残り日数を確認できます。

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